VMware Consolidated Backup (VCB) で仮想マシンをバックアップする

iSCSI環境を構築していて一番コワイのがストレージが読めなくなってしまうことです。
物理的なストレージと違って、iSCSIはちょっとした操作ミスや不具合で簡単に読めなくなってしまいます。
そうなってしまうと、まず復旧できません。仮想マシンが数十台あった場合の被害は甚大です。


そこでバックアップが非常に重要になってくるわけですがVMwareにはVCBという
仕組みが用意されていて仮想マシンを停止することなくバックアップと取ることが出来ます。
確か、このVCBはESXiではオプション扱いのはずなので無料では使えません。
ESX3.5までのVCBマニュアルは下記をご覧ください。(日本語です)
http://www.vmware.com/files/jp/pdf/vi3_35_25_vm_backup_ja.pdf


おすすめ本
ESX3.5の解説書ですがESXの基本概念を理解するには十分だと思います。

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基本原理や詳細はマニュアルに譲るとして、VCBには次の2つのモードがあります。

  • SANモード
  • LANモード

簡単に説明するとSANモードは、ストレージから直接バックアップを取る方式で、
LANモードはESXサーバ経由でバックアップを取る方式です。
iSCSIストレージを導入しているのですからここはSANモードを利用しない手はありません。
ローカルディスクを利用している仮想マシンはLANモードしか利用できません。


なお、VCBは単体ではバックアップ機能はありません。あくまでもバックアップの
手伝いをするWindows用のフレームワークプログラムです。
といっても、簡単なスクリプトを書けばバックアップソフトはなくても十分利用できますが。
簡単なバックアップであれば、このVCBを利用せずにESXのコンソール上から
vcbmounterコマンドで外部サーバにバックアップイメージを転送してしまうのが楽です。


今回のVCBプロキシを利用する方法はテープドライブや綿密なバックアップを取りたいので
Windows用バックアップソフトが利用したい場合の選択肢です。
対応するバックアップソフトは各種ありますが、今回はSymantecのBackupExec12.5を採用しました。
このBackupExecのライセンス形態が難しくて悩んだのですが、最低限本体だけあれば大丈夫です。
VMwareエージェントという専用オプションがあるのですが、あれば便利ですが必須ではありません。
なにせ定価で58万円です。実売でも20万円以上はします。
[カタログ] http://www.symantec.com/content/ja/jp/enterprise/brochures/be12.5_br_catalog.pdf
試用期間中に利用してみましたが、確かに簡単に設定ができます。
スクリプトを組む手間と維持費を考えれば購入した方が安心かもしれません。
貧乏人には買えませんでしたが・・・


BackupExec用のスクリプトは12用がVMwareによって提供されていますので
12.5でもそのまま利用します。全部英語ですが理解できれば動作は単純です。
うまくいかない場合は、LANモードでvcbmounterコマンドを直接操作して動作確認から始めるとよいと思います。

プリコマンド
"C:\Program Files (x86)\VMware\VMware Consolidated Backup Framework\backupexec\pre-backup.bat" vmwarejob 192.168.1.1-FullVM

ポストコマンド
"C:\Program Files (x86)\VMware\VMware Consolidated Backup Framework\backupexec\post-backup.bat" vmwarejob

コマンドラインで動作を確認できたら、そのままBackupExecの設定に組み込むだけです。
プリコマンドの192.168.1.1を対象の仮想マシンIPに変更するだけで複製できます。
ジョブ名(上ではvmwarejob)は何でもよくて、同時に動かさないのであれば同じ名前でも問題ないようです。


あと情報が少ないのが、iSCSIストレージをWindowsからアクセスする方法です。
VMFSはWindowsでは理解できないのでどうするのかと思ったのですが、単純に
Windows標準のiSCSI Initiatorを利用してマウントするだけでした。
通常は、HDDとしてマウントするとドライブレター割振りとかを聞いてきます。
下手に操作すると危険ですので、コマンドプロンプトからオートマウント設定を止めてしまします。

diskpart
automount disable
automount scrub
exit

これでWindowsからは常に「不明なパーティション」として認識されます。
余談ですが、WindowsiSCSI InitiatorはCHAPパスワードが12文字以上16文字以下でないと動きません。
短いパスワードを設定してしまった場合は、全部変えないとダメです。大変です。


以上、設定をしていてつまずいたところを中心にメモ書きしていますので全体の
概念や設定方法は各マニュアルや解説サイトを参照ください。(他力本願)
あと、ファイルレベルのバックアップもありますがUnix仮想マシンでは使えないので使ってません!