Windows Server 2019 (ハードウェアRAID vs 記憶域プール)

Domain Controllerのリプレースを計画中です。
Windows Server 2012R2 から Windows Server 2019 へ移行予定です。
普段Windows Serverを利用しないので新機能についていけずいろいろ調べた結果の備忘録です。

第2回目は、ストレージについてです。
結論としては、現状ではケースバイケースです。
風潮的にハードウェアRAIDは、消えていく存在なのかもしれません。

まずこれは、Domain Controllerではなく、ファイルサーバを兼任する場合の前提です。

以前も書きましたが、Windows Serverの記憶域プールは、ハードウェアRAIDだと設定できません。(認識しない)
HBAモードをサポートするRAIDカード等が必要となります。
DELLのサーバだと13世代(PowerEdge 430等)以降のRAIDカード(Perc H330 / H730等)からサポートされます。
H730だと、カード全体をHBAモードにしたり、ドライブ毎にRAID/HBAを切り替えることもできます。

なお余談ですが、12世代(H710等)で存在したCachecade機能は廃止されました。広く利用されず、混乱を生んだためとDELLの返答がありますね。
Solved: ssd cashe on h730p - Dell Community
この機能はRAIDカード単体で、SSDをHDDのキャッシュとして利用するものでした。この機能が残っていればハードウェアRAIDを採用したんですが。

このCachecadeと同じ様な機能を記憶域プールが持っているので、そちらを利用しましょうということらしいです。

ここで、同じ様なと書いたのは類似機能が2つあるためです。

  • 階層記憶域
  • 記憶域スペース ダイレクト (S2D)

Cachecadeと同じキャッシュ機能を考えた場合、S2Dが必要となりますが、この機能はWindows Server 2019 Datacenterのみで利用可能です。Standardでは利用できません。
機能的にも、ハイパーコンバージドを構築するもので高機能です。ただのDCにここまで費用はかけられません。
記憶域スペース ダイレクトの概要 | Microsoft Docs

階層記憶域は、厳密にはキャッシュ機能ではなくファイル配置を最適化する機能です。
標準で1GB(コマンド設定で推奨最大16GB)をWriteCacheとしてSSD層に確保しますのでこの部分はキャッシュ機能といえます。
Windows Server 2012 R2 の記憶域スペースは、Write-Back Cache と 記憶域階層 をサポート

階層記憶域の挙動としてはSSD層に書き込んでいき、いっぱいになったらHDD層に書き込み、1日1回SSD層とHDD層の整理をするといった挙動のようです。
Windowsの記憶域階層の挙動(SSD層が優先的に使われるよ) [クソゲ〜製作所]

しかし、同じ方がSSD層がいっぱいになった際にパフォーマンスが大幅低下するとも報告されています。(私は確かめてません)
Windowsの記憶域階層な共有フォルダがプチフリする謎現象 [クソゲ〜製作所]

さらに、記憶域プールのParityは書き込みが非常に遅いようです。階層記憶域を利用するか、別途SSDをJournalディスクとして追加すると改善されるようですが、HDDだけで運用する場合は注意が必要です。H730であればハードウェアRAIDにするべきでしょう。
小容量SSDは、記憶域プールのJournalディスク(パリティ利用時)にしてしまおう

階層記憶域の作り方
SSDとHDDで階層記憶域を構築し、安価で高速なストレージを構築する | しょぼんブログ

補足:GUIでも単純なものは作れますがParityは選択肢にでませんでした。
また、Windwos Server 2019だとコマンドは同一ですが、New-StorageTierコマンドの結果が異なりました。

PS C:\WINDOWS\system32> Get-StoragePool StoragePool | New-StorageTier -FriendlyName CacheTier -MediaType SSD

FriendlyName Usage TierClass MediaType ResiliencySettingName PhysicalDiskRedundancy Size FootprintOnPool StorageEfficiency
------------ ----- --------- --------- --------------------- ---------------------- ---- --------------- -----------------
CacheTier      Data  Unknown   SSD       Mirror                1                      0 B             0 B

また、いろいろと作成実験をしていますが、ハードウェアRAIDと比べてディスク追加やモード切替(MirrorからParity等)が後で行えないものが多いようです。
ハードウェアRAIDの方が、RAIDモード切替やディスク追加、障害時復旧等が楽だと思います。

逆に、SSDの寿命を確認するために専用ソフト等を利用する場合は、ハードウェアRAIDを通すとSMARTデータが取得できないので苦労します。(DELLの純正SSDだと管理画面で確認できます。高すぎて手が出ませんが)

まだ最終結論に至っていないのですが、HDDはハードウェアRAIDでRAID5/6、SSDはHBA/NVMeで直接接続、場合によってはそれらのディスクを記憶域プールでまとめてもいいですが、SSDも安くなってきたので個別ドライブで運用を工夫するのが現状での最適かもしれません。